足尾銅山の奥にある松木渓谷 元祖公害で廃村になった集落跡
足尾銅山の精錬所跡からさらに渡良瀬川源流を登って行くと巨大な砂防ダムが見えてくる。この砂防ダムは足尾銅山から出た廃ガスでこの辺りの山々が禿山になってしまい土砂の流出が夥しいためであろう。周りの山では現在植生回復中のようで植林事業がなされている。
その巨大砂防ダムを越えてさらに奥に進むとなんやら日本離れした風景になってくる。松木渓谷の始まり。周囲は岩山であり森林限界を超えた高い山に見えるが、これはすべて銅山の廃煙で木が枯れてしまったために現れた地肌です。この中でも一際目立つのがジャンダルムと呼ばれている岩峰。穂高にもジャンダルムはあるが、前衛の峰という意味。まるでスイスのような光景。
でも、この場所には松木村という集落があって足尾銅山から出る亜硫酸ガスにより廃村となってしまったという歴史がある。今でもその名残として石碑が残っている。
石碑の奥に広がる光景は、スラグの捨場。スラグとは銅鉱石を精錬する過程でできるカスです。何十年前かに捨てられたスラグのはずですが余程毒性が強いままなのかペンペン草も生えていない。ここに降った雨水が渡良瀬川に流れ込み今でも下流に流れている、だから今でも渡良瀬遊水地が必要なのか。廃村が産業廃棄物で埋まってしまうという恐ろしい光景が人目に触れない山奥に広がっておりました。
もうここは永遠にこのまんまなんでしょう。